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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「僕なら妹尾さんを泣かせたりはしない」なんてかっこよくて無責任なことを言って抱き締める度胸なんて、僕にはなかった。

「落ち着いた?」

そんな気の効かないことを言ってあやふやな笑みを浮かべるのが、僕の精一杯だった。

「うん。もう大丈夫……」

そう言ってから妹尾さんは失恋までの経緯を話はじめた。

それは妹尾さんに恋心を抱いている童貞には身を引き裂かれるほどに辛い話だった。


妹尾さんと別れた彼氏が知り合ったのは三ヶ月前。
ちょうど僕と詩子さんが漫画を書き始めた頃だった。

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