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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「まあ、もういっかって感じなんだよねー、正直。私にはもったいないくらいの彼氏だったし……当分恋はいいやって気分なの」

明るく笑っているが僕にはわかる。
全然妹尾さんが吹っ切れていないということを。

「行こう、妹尾さん」

僕は反射的に妹尾さんの手首を掴んで立ち上がった。

「えっ!? な、なに、黒沢くん!? どこ行くの!?」

「彼氏のところだよ」

「えーっ!? 無理無理無理無理っ!!」

妹尾さんの顔がひきつっているが知ったことか。

妹尾さんが悲しみながら笑う顔なんて、僕には耐えられなかった。

妹尾さんはいつでも屈託なく、心から笑ってないといけないんだっ!!

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