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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

妹尾さんは拒んだものの、僕が彼氏の家を聞くと素直に教えた。

本当は妹尾さんだって会って話がしたいんだってわかった。

けれど彼氏の家の近くに来るとその決心も鈍ったようだった。

「やっぱりやめよう? いいよ、黒沢くん。嬉しいけど、もういいの。私は諦めがついたし、目が醒めたから……ね?」

「よくないよ。妹尾さんがよくても、僕がよくないから」

「く、黒沢くんが?」

「そう。僕は妹尾さんが悲しい顔で笑うのを見てられないっ!! 妹尾さんにそんな顔をさせるやつなんて、許せないっ!!」

きっと妹尾さんは僕の言葉の意味なんて理解してはいないのだろう。
けれど行く足を引き留めはしなくなった。

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