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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

しばらくすると玄関が開き、中から彼氏らしき高校生が出てきた。

上背だけでなく、想像していたよりも筋肉質の男を見て一瞬だけ、僕は怯んでしまった。

「ひなたっ……」

大男は妹尾さんを見て、言葉を詰まらせる。

「剛史(たけし)……」

剛史と呼ばれた彼氏は想像とあれこれ違っていた。
筋肉質であることは想定できる範囲内での僕の判断ミスだったとしても、見た目は随分と違っていた。

イケメンとは程遠い、厳つい顔立ちだった。
それに全くチャラそうな感じはなく、実直そうな印象を受けた。

妹尾さんは見る見る表情を歪ませ、すがるような笑みを剛史に向けた。

その瞬間、僕にはすべてが見えた。

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