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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「妹尾さんにこんな悲しそうな笑顔をさせないでくださいっ!! お願いしますっ!!」

僕はその場で土下座して、額を地面に擦り付けた。

「えっ!? は? な、なに!? 誰、お前!?」

剛史はしゃがみこんで土下座する僕を立たせようとした。

「お願いしますっ!!」

「や、やめろって……人ん家の前でっ……」

巨躯の剛史に引っこ抜かれるように担ぎ上げられ、僕らは剛史の家へと上がった。

僕は別に剛史が巨漢で厳ついから土下座したわけではない。

妹尾さんがどれだけ剛史のことを好きなのか、気付いてしまったから土下座をした。

妹尾さんがまたいつものように笑えるなら、僕はなんだって出来る。

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