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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「いや……それは俺のせいだ……」

剛史は苦しそうに呟く。

「だったらなぜ--」
「ひなたに夢中になりすぎて己に負けた自分のせいなんだ……」

剛史の苦しそうな声に僕の勢いは削がれた。

「剛史くん……」

妹尾さんは涙で潤んだ目で剛史を見詰めた。

「ひなた、ごめん。俺は柔道家だ。ひなたのことは好きだ。けど、今は柔道に打ち込みたい……」

「剛史くんのこと、私も応援してるよ……」

「いいのかよ、それで」

せっかく円満に別れそうなのに僕は無駄に熱い血を騒がせた。

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