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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「いいの。ありがとう……」

「よくないよッ!! 剛史っ!! 柔道しながら妹尾さんを愛してやれよっ!!」

僕の怒声に二人は肩を震わせた。

「出来るだろ、それくらいっ!! 好きな人を泣かせなきゃできないくらいなら柔道なんてやめちまえよっ!!」

僕は無我夢中で怒鳴り散らした。

「……こいつの言う通りだな。俺は勝てない言い訳を探していたのかも知れないな……ごめん、ひなた。許してくれるなら、俺ともう一度、付き合ってくれないか」

妹尾さんはボロボロ涙をこぼして目を真っ赤に腫らして剛史を見詰めていた。

「はいっ……もちろんっ……私でよかったら、付き合ってください……」

「ひなたっ!!」

剛史は力一杯に妹尾さんを抱き締めた。
僕は呆然と剛史の背中に回した妹尾さんの手が剛史の背中を握りしめるのを見ていた。

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