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僕は絵しか描けない

第8章 コンテストの結果

「なに、その上から目線……ムカつくんですけど?」

またキャンバスの方に向き直り、背中越しに吐き捨てられた。

照れた様子はなく、心底不愉快な声だった。

「上からじゃないって……」

「詩子に選んでもらったからいい気になってるんじゃないの?」

馬場さんの言葉を聞いて、それが今のしこりの最大の要素かと気付く。

「別にそんなことないけど……」

そう言いながらも意外と的外れではないのかもしれないと気付いた。

何事にも自信のなかった僕は、本当のところ得意の絵にもそれほど自信はなかった。

けれど詩子さんと漫画を描くようになってどこか自信がついた様なところはあった。

もちろん上から目線なんかではないけど。

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