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僕は絵しか描けない

第9章 ダブルデート!?

『私なんかのために』じゃない。
妹尾さんだからしたんだ。

でももう、その言葉は言えない。

それを言ってしまえばすべてが終わってしまう気がしたから。

拗ねた僕が機嫌を直す口実を作ってくれた妹尾さんに感謝しつつ、僕はキャンプに戻った。

僕が戻ったのを見ても剛史も詩子さんもなにも言わなかった。

きっと妹尾さんがからかうなと念を押してくれたのだなと気付いた。

その気遣いを感じて、僕はますます妹尾さんを好きになってしまう。

着地点のない恋心は抑えようとするほどに強くなってしまう。

手が届かないからこそ余計に惹かれてしまう。
小さい頃どうしても欲しかったおもちゃが買ってもらえず、どんどん欲しくなっていったのに似ていた。

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