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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

「さあ、クロ。今日は漫画の合宿でもあるんだからね! 徹夜覚悟で頑張んなさいっ!!」

詩子さんは愉快そうに笑うが、僕は全く愉快じゃなかった。

漫画の徹夜も愉快じゃないが、それ以上に愉快じゃないことが隣のロッジで行われている。

しかし僕の気持ちなど知ったことではない詩子さんはハイテンションで書きかけの僕の原稿を読んでいる。

「あたし取り敢えずシャワー浴びてくるからその間に始めててね。サボるんじゃないわよ!!」

このロッジには一応簡易なシャワーがついている。

詩子さんはタオルと着替えを鞄から出してシャワーの準備をしている。

ってか開けっ広げにするから着替えのパンツが丸見えだ。

「ん? なに見てんのよ、クロ? 一緒にお風呂入りたいの?」

「は、はぁあ!? ふざけないでよっ!!」

顔が熱くなるのを感じながら僕は怒鳴った。

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