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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

詩子さんがシャワーに向かってから僕はずっと隣のロッジの窓を見ていた。

窓にはもちろんカーテンがかかっており、中は見えない。

けどカーテンの隙間から見える明かりが僕に様々なネガティブ妄想を掻き立ててしまった。

「進んだ?」

「わっ!?」

不意に背後から覗きこまれて心臓が一瞬停止した。

「なぁんだ……全然進んでないじゃん……」

詩子さんはつまらなさそうに僕から離れた。

詩子さんの身体からは風呂上がりの綺麗な石鹸の香りがした。

「きょ、今日は疲れたから描けないよ……」

「はぁ!? なに言ってんの? せっかく二人揃ってるんだから進めるよ」

詩子さんはベッドにどかっと座り、バスタオルで髪を乾かしていた。

ショート過ぎる髪は乾くのも早そうだ。

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