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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

「やめてよっ!!」

つい声を荒げてしまった。

「……ごめん」

珍しく素直に詩子さんが謝った。

昼間のいざこざを思い出して反省してくれたみたいだ。

「……いや、僕の方こそ大きい声出してごめん……」

ボソッと謝ったのは昼間の分の謝罪も含んでたつもりだった。

カーテンを閉じた方が作画に集中できることはわかっていた。

けれど妹尾さんたちの様子が気になって閉じれずにいた。

「クロ、ここをもっと憎しみあるように描いて」

詩子さんは身を乗り出して指示してくる。

「あ、うん……」

先ほどまでのからかう気配はなくなったけど屈んだ姿勢だとTシャツの襟首が開いて結局胸が見えてしまう。

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