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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

熱中して描いていると時間を忘れる。

思い出したように窓の外を見ると妹尾さんたちのロッジの明かりが消えていた。

暗い窓を見ると僕の心は描き乱された。
その暗闇の中で妹尾さんがどんな格好をしてるのかと陰な妄想が溢れてしまう。

その動揺は筆先にも現れてしまった。

「疲れたよね。休憩しようか」

僕の作画の乱れを疲れからと判断した詩子さんがそう提案してきた。

「ほい、クロ」

「ありがとう」

差し出された缶ジュースのプルタブを開け、果汁味の無果汁砂糖水をあおった。

「勢いよく飲むなぁ」

笑いながら詩子さんはベッドの上に座り、自らも缶ジュースを飲んだ。

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