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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

寝巻き用のショートパンツの隙間からは下着がチラ見しているしTシャツの下からは相変わらず乳首がポチっと存在を主張していた。

詩子さんの方は目のやり場に困るし、窓の外は目を背けたい暗闇しかない。

「クロさぁ……あんた……」

詩子さんが何か言いかけたから僕は黙って続きを待った。
しかし詩子さんはそれきり続きを言わなかった。

詩子さんが何を言おうとしたのか気にはなったけどあえて僕は続きを促さなかった。

何となく、聞きたくない話のような気がしたからだ。

「今度は大賞、獲れるといいね……」

代わりに僕が話題を振った。

「獲れるといいねじゃないの。獲るの」

いつもと同じ叱咤が飛んだが、口調はいつになく柔らかでしっとりとしていた。

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