テキストサイズ

僕は絵しか描けない

第11章 僕たちの絆

「た、たぶんこれからの活躍を期待する人に贈られる賞じゃないかな……奨励賞って」

「なにそれ? 今のままでは不充分ってこと?」

「えっ……いや……」

奨励賞をそんなマイナス意味で捉える人をはじめて見た。

確かにまあ、そう言えないこともないけれど……

「全くの素人で高校生で、それに応募二回目で奨励賞なんて破格のことだと思うよ」

「あーあ……あたしの実力ってそんなもんか……」

まったくめげない詩子さんの心が折れた。
そんな詩子さんなんて見たくなくて僕は顔を背け、ベンチから立ち上がった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ