テキストサイズ

僕は絵しか描けない

第11章 僕たちの絆

まあ、座ってと促され、バネがいかれたようなソファーに腰掛ける。

「読ませてもらったよ、『デジタル式温州みかん』」

「ありがとうございます」

詩子さんは頭を下げながらも安立さんから視線を外さない。
言葉とは裏腹に鋭く睨み付けるような視線だから僕は冷や冷やしてしまう。

「ははは。いい目をしてるね。君が原作の丹羽さんだね。丹羽詩子さん」

「はい。詩子でいいです」

「そっちが作画の……えっと」

「黒沢です」

「そう。黒沢くん」

「クロでいいです」

「えっ!?」

勝手に詩子さんがあだ名を伝えてしまった。
訂正するのもなんか変だからもうクロでいいことにした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ