僕は絵しか描けない
第11章 僕たちの絆
「それって……」
詩子さんが口許を震わせながら口を開いたが、それを遮るように安立さんは続けた。
「確かにまあまあ上手いよ、黒沢くんの絵は。けれどそれだけだ。特に女性キャラには色気がない。一言で言ってしまえば黒沢くんの絵には魅力がない。この絵ではこの漫画は活きてこない」
前から気付いていたことだが、こうしてプロに言われると心が震えた。
プロの世界は誤魔化しきれない。
ましてや自分ではその悩みを打破できるくらいの出来だと思っていただけにショックは大きかった。
「そ、そんなことないっ!! クロの絵は私の世界を表現できているっ!!」
詩子さんは大声で怒鳴り、肩をわなわなと震わせていた。
「そうかな? 少なくとも俺はそうは思わないな」
落ち着いた声の安立さんは詩子さんと対照的だった。
事情が知らない人でもそれを見るだけでもどちらが感情論を述べているかはわかる。
詩子さんが口許を震わせながら口を開いたが、それを遮るように安立さんは続けた。
「確かにまあまあ上手いよ、黒沢くんの絵は。けれどそれだけだ。特に女性キャラには色気がない。一言で言ってしまえば黒沢くんの絵には魅力がない。この絵ではこの漫画は活きてこない」
前から気付いていたことだが、こうしてプロに言われると心が震えた。
プロの世界は誤魔化しきれない。
ましてや自分ではその悩みを打破できるくらいの出来だと思っていただけにショックは大きかった。
「そ、そんなことないっ!! クロの絵は私の世界を表現できているっ!!」
詩子さんは大声で怒鳴り、肩をわなわなと震わせていた。
「そうかな? 少なくとも俺はそうは思わないな」
落ち着いた声の安立さんは詩子さんと対照的だった。
事情が知らない人でもそれを見るだけでもどちらが感情論を述べているかはわかる。