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僕は絵しか描けない

第11章 僕たちの絆

「俺が担当してる作家のアシスタントに腕のいいのがいる。どうだろう? 詩子さん、そいつと組んでみないか? それならばすぐにでもデビューさせられる」

安立さんは詩子さんをじっと見つめて問い掛けた。

「お断りします。私の原作はクロにしか描けませんっ」

詩子さんは猫が毛を逆立てるような激しい怒りを露にして拒む。

僕が、詩子さんの邪魔をしてる……
詩子さんのチャンスを駄目にしている……


「いいよ。そうしなよ、詩子さん」

僕はひきつった笑顔で答えた。

「はぁあっ!? なに言ってるの、クロ!! あたしはクロとやっていくのっ!!」

「言っただろ、詩子さん。僕は応募まではするけどプロにはならないって……」

「うっさいっ!! クロの癖に歯向かうなっ!!」

詩子さんの涙目が僕を余計に苦しませるし、惨めにさせた。

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