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僕は絵しか描けない

第12章 未完成のまま、僕は

エッチをしたけど彼氏じゃないという詩子さんのスタンスはやはり本物だったらしい。

あの日以来何度も会っているが手を繋ぐことすらなかった。

微かに期待していただけに、それはちょっと凹んだ。

けど『デジタル式温州みかん』を完成させて、感動させてやろうと企んでいる。

最高の出来に仕上げ、感動してるところで告白しようって思っている。

「詩子さんが好きです。これからもずっと一緒にいよう。付き合ってください」と。

そんなことを想像しながらにやにやと笑みを浮かべて作画する僕は相当気持ち悪かったと思う。

そして画風からは時計仕掛けのオレンジをどこか意識していた気配は消え、詩子さんの世界を紙の上に構築していった。

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