僕は絵しか描けない
第12章 未完成のまま、僕は
童貞を捨てたら魅力的なものが描けるという詩子さんの独説を信じるわけではないが、僕の作画はみるみる変化した。
描きながら自分でもぞくぞくするような作品に仕上がっていった。
降りてきた感性を逃さないように慌てて原稿用紙に描き示していく。
そうして僕は、『デジタル式温州みかん』を再び描き終えた。
前回のものとはまるで違う、毒々しくて感情的な作品になっていた。
僕が真っ先にしたのはもちろん詩子さんへのメールだった。
『詩子さん、温州みかん描き上がりました。明日持っていきます』
夜も遅かったので短いそのメールを送り、パジャマに着替えようと立ち上がった。
メールを送ってわずか数秒で僕の携帯は詩子さんからの着信音を奏でた。
「えっ……早すぎない?」
驚きながら僕は通話を押した。
描きながら自分でもぞくぞくするような作品に仕上がっていった。
降りてきた感性を逃さないように慌てて原稿用紙に描き示していく。
そうして僕は、『デジタル式温州みかん』を再び描き終えた。
前回のものとはまるで違う、毒々しくて感情的な作品になっていた。
僕が真っ先にしたのはもちろん詩子さんへのメールだった。
『詩子さん、温州みかん描き上がりました。明日持っていきます』
夜も遅かったので短いそのメールを送り、パジャマに着替えようと立ち上がった。
メールを送ってわずか数秒で僕の携帯は詩子さんからの着信音を奏でた。
「えっ……早すぎない?」
驚きながら僕は通話を押した。