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僕は絵しか描けない

第12章 未完成のまま、僕は

駅についてから一時間が経ち、十二時近くになると動悸が激しくなった。

間違いなく、何かあった……

僕は血の気が引いていくのがわかった。

何かの間違いであって欲しい。
気まぐれな詩子さんが笑いながら電話を掛けてきて「やっぱ寒いから明日にしよ」とか言って欲しい。

そしたら僕は詩子さんに毒づきながら家に帰ってやるんだ。

そんなことを考えていると携帯が着信音をあげた。

僕は慌てて携帯を取り出す。

「ほら、やっぱり詩子さん」

独り言を言いながらディスプレイを見た。



妹尾ひなた



ディスプレイには、そう表示されていた。




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