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僕は絵しか描けない

第5章 仲直り

「えっ……ま、まぁ……」

遅れの原因は僕にあるとでも言いたいのか詩子さんが答えないから、仕方なく僕が答える。

「そっか。頑張ってね!!」

詩子さんはなにか言いたそうではあったが、口を閉じて車窓に視線を旋回させた。

バスはぐんぐんと坂道の住宅街を抜け、終着点のケーブルカー乗り場までやって来た。


「じゃ、次はあれ乗るから」

音符でも付きそうに語尾を弾ませて妹尾さんはケーブルカーチケット売り場に小走りで向かう。

「ふぅ……やれやれ」

詩子さんは面倒くさそうにそのあとを追っていった。

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