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僕は絵しか描けない

第7章 僕の失恋

「じゃあ今度の日曜日でいい?」

「え? 何が?」

「何がって……絵のモデル。描いてくれるんでしょ?」

「えっ……あ、う、うんっ!! もちろんっ!!」

僕は今まで何度も似顔絵の依頼受けたが、そのすべては数枚の写真を渡され、あとは僕が勝手に描くというものだった。

目の前でモデルになってくれた人はいない。

だけどそんな事実はおくびにも出さず、ちゃっかりと日曜の約束を取り付けた。

目的と手段が逆転していつの間にか妹尾さんと仲良くなるはずが、詩子さんと仲良くなってしまってきていたが、そもそも僕は妹尾さんと仲良くなるために漫画なんて描いたんだ。

ようやく目的に一歩前進出来たというものだ。

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