
キャラメル、甘く
第1章 *条件
設定が決まってるだけでセリフも何もないこのシーンでは、全て本人達の演技にかかってくる。
杏樹が、着ていたバスタオルを床におとす。露になるしなやかな体。
それを圭太くんは無表情に見つめている。
なかなかSEXシーンに入らない。
沈黙の時間が続く。
「焦らすな…」
梶さんが横でぼそりと呟く。
私はと言えば、内心そわそわしていた。
どうしよう、上手くいかなかったら。
そんな思いばかりが頭を巡っていた、
その時、
「きゃっ…」
杏樹のか細い悲鳴が聞こえた。
すぐに圭太くんが杏樹を押し倒したのだと分かる。
「誘ってんの?」
「…っ!!」
「おい、お前が反応してどうする」
「す、すいません、つい…」
呆れ半分梶さんにツッコまれてしまった。
(だって急に、あんな艶っぽい声出されたら…!!)
