
キャラメル、甘く
第1章 *条件
望月芸能事務所は、私の父が立ち上げたものだ。
決して大きいとは言えないものの、今までやってこれたのは所属するタレント達のおかげ。
その夢を叶えてあげるのが事務所の仕事で、そういう仕事場を、私は小さい頃から誇りに思っていた。
短大卒業後、
決して綺麗な入り方をした私ではなかったけれど、私には夢があった。
“望月芸能事務所を世間に広める”
という夢。
桐嶋 杏樹はその中でも有望なタレントで、また、私が最初に担当したタレントでもあった。
必ず伸びる、
父が磨いた原石。
その彼女の夢が叶った時、
私の夢も叶えられる、
そう確信していた。
