
キャラメル、甘く
第3章 *不透明な感情
"自分がどこまでやれるか、試したいんです"
覚悟している目。
大人だらけの周りにも負けない、
毅然とした態度。
この子の舞台を作ってあげたいと本気で思った。その為なら私、何でもする。
「絢菜さん?」
不思議そうに顔を覗き込む杏樹に、我にかえる。
「あ…ごめん、ごめん」
「圭太くんも、今日来てるんですよね?」
「うん。今日、事務所にもお披露目って感じかな」
「楽しみですね」
そう言って杏樹が本当に嬉しそうに笑うから。
圭太くんが契約してくれた事もあながち良かったのかな、なんて思えてくる。
(良い事、なんだけど…)
