
キャラメル、甘く
第3章 *不透明な感情
「圭太くん…?」
「こんなに簡単に壁に押し付けられちゃう癖に」
「ど…」
どうしたの?
壁に押し付けられた事よりも、
圭太くんの態度が何より怖かった。
冷ややかに私を見下ろす目。
自嘲気味に嗤う唇。
不安そうに見上げる私の顔が伝わったのか、苦く笑って、そうしてごく自然に私の唇に口付ける。
「…っ…?!」
突然の行為に、思わず彼の頰を叩いた。
ぱちん、と。
渇いた音が辺りに響いて。
「ぁ…」
今のはさすがにやりすぎ…
咄嗟に出た手に後悔しても遅くて、
彼が自分の頰に手をあてる。
「相変わらず耐性ないね」
でも圭太くんは、
こんな事ぐらいどうって事なかった。
