1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第1章 プロローグ
足音の正体が分かった。
髪は腰ぐらいまであり、白いワンピースを着ている。
後ろ姿だったが、女性という事は分かった。
しかし、運が良かったのか、その女はクローゼットに背を向け、夏美のデスクの辺りを向いている。
夏美は女のいる方を警戒しながら見つめ、ゆっくりと、それでも確実に、ドアの方に近づき、バレない様に擦り足で歩数を稼いでいく。
もう少し……。
もう少し……。
『おねがい……。そのまま……振り向かないで……』
しかし、あと50㎝ぐらいの所で、その女はついに振り向いてしまった。
夏美はパニックになり、思わず塩水を吐いてしまう。
何故なら振り向いた女の顔は、目から赤い涙を流し、口は耳元まで裂けていたのだから……。
女は夏美と目が合うと、ニヤリと笑い、耳元まで裂けている口を大きく開けて言った。
『夏美ちゃん……み~つけたっ!』
……………………。