1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第1章 プロローグ
足音は夏美を探すように部屋をうろつき始める。
ヌチャ……。
ヌチャ……。
絨毯の上を、濡れた足でゆっくり歩く音だけが不気味に響く。
ヌチャ……。
ヌチャ……。
『ヤバいっ!!!!』
『見つかっちゃうっ!!!!』
心の声は必死に悲鳴を上げるが、夏美はガタガタ震える事しか出来なかった。
ヌチャ……。
ヌチャ……。
だんだん足音はクローゼットの方に近づいてくる……。
『このままでは確実に殺される』
『早くかくれんぼを終わらせないとっ!』
と感じた夏美は、意を決してクローゼットから気付かれないようにそっと出た。