1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第7章 ――斎藤 梢 編――
二人の目線の先には、梢の腕があり、何かを大事そうに握っているようだ。
恐る恐る二人は近づく。
「ウサギのぬいぐるみ?」
新人駅員が言った。
「結構デカイな。確か亡くなったのは女子高生だったよな? あんな姿になっても握りしめてるって事は、よほど大事なものなんだろうよ……」
ベテラン駅員は少し悲しそうな表情で言った。
「けど……なんか気持ち悪いっすね……なんであんな赤い糸でぐるぐる巻きにしてあるんだろ…?」
新人駅員はしかめっ面をしながらそう言うと、もう一度引きちぎられた腕にしっかりと握られているぬいぐるみをマジマジと見た。
「さぁね……最近の若い子の考えてる事はさっぱりわからんよ……」
溜め息をつきながらベテラン駅員はそう言うと、その場から去っていった。
梢の腕に大事に握られていたもの……。
それは香織が【1人かくれんぼ】で使ったぬいぐるみだった……。