無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　駅員に言われ、ハッと我に返った香織は、話の内容は全く聞いていなかったのだが、

「あっ……すいません。そうです、そんな感じです」

　と、適当に返事をした。

「じゃああの子はよっぽど好きな子でもいたんだろうねぇ……あんな姿になっても、凄く大事そうに握ってたから……」

　駅員は少し声のトーンをおとし、悲しそうな表情で言った。

「あんな姿になっても？　……もしかして、駅員さんその子の顔見たんですか!?」

　香織は駅員の腕を物凄い力で掴むと、興奮しながら尋ねる。