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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 時計を見ると、8時を少し回っていた。

『ヤバいっ!! 遅刻しちゃうっ!!』

 香織は慌てて制服に着替えると、朝食もとらずに学校に向かった。

 急ぎ足で歩いていると、前の方に同じ制服を来た生徒達が見えてきたので、香織は呼吸を整え、何事もなかったのようにその集団に紛れる。

 どうやら遅刻は免れたみたいだ。

 学校に着き、教室に入ると、既に優香里、沙織、千里は登校してきたようで、教卓の辺りで立ち話をしていた。

『やっぱり梢がいない……』

 何とも言えない緊張感が再び香織を包む。

 しかし優香里達は、話が相当盛り上がっているのか、香織が教室に入って来たことに珍しく気が付いていないようで、大声でケラケラ笑いながら楽しそうに喋っている。

 香織はチラッと優香里達を見た後、気付かれないように俯きながら、席についた。

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