
1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第2章 自殺
ピンポーン――――。
…………。
応答はない。
まぁこんな時間だ。
流石に家の者も寝ているのだろう。
朝まで近くのコンビニで暇を潰そうと、香織が家から離れようとしたときだった。
「はい……どちら様でしょうか?」
と、いかにも寝ぼけた女性の声がした。
「あっ……香織だけど……」
香織は気まずそうに話す。
「お嬢様! こんな時間までどちらにおられたんですか! 今鍵を開けますっ!」
声の主は若山静江(わかやま しずえ)だった。
静江はいつも家にいない親の代わりに、香織の世話をしてくれている、お手伝いさんである。
香織は【しずさん】と呼んで慕っていた。
学校から一度も家に帰っていないので、流石に心配していたようだ。
声の様子からかなり興奮している。
