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近くて遠い

第39章 復讐

────────…

身体を固めたまま何も話さない真希を、


要は力強く抱き締めた。








逆に震える自分の身体。



「怪我はっ…!!」



支えている後頭部がゆっくりと左右に揺れる。


その返事を聞いて、



良かったと安堵し、


身体の力が少し抜けた。





狂った相手に
どう立ち向かうか…



皆で必死に考えあぐねていたところ、

車のトランクにあった弓矢を見つけた。



渡辺は仲間もおらず、
錯乱している。


背後からいけば隙を作れる──



暗闇で矢を放つのは


一か八かの作戦だった。





真希さんに当たらなくてよかった───


今までになく震えた身体がその緊張を物語っている。



要は真希を抱き締めたまま顔を上げた。


うずくまる渡辺を拘束する酒田と斎藤。



そして、


その脇で光瑠が肩で息をしながら立っていた。



真希越しに目が合う。


光瑠は真希を抱きしめる要を見て顔を歪ませ、目をそらし背を向けた。




「かな…めさん……」




力なく呟いた真希を


要は下唇を噛みながら再び強く抱き締める。



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