俺様主人
第1章 氷堂 水樹
俺、氷堂水樹。
俺の父が外交官で言わば、金持ちだ。
そのお陰で、今まで何不自由ない生活を小さな頃から送ってきた。
そして、今はもう亡き母は元モデルで、凄く綺麗な方だった。
父もまぁまぁイケメンだったが、俺は母に似たらしく顔にも不自由がなかった。
いこーる、女にも困ってない。
外交官の父が家にいるなんて、凄い珍しい。
さらに呼ばれるなんて…
まぁ、大体は予想ついてるけど。
キュッとネクタイを締め直し、乱れた髪を手櫛で適当に整えた。
ふぅっと、短い息を吐いて
コンコン
と、二回ノックすればハスキーな声が返ってきた。
「入れ」
お許しを得たとこでドアをガチャっと開ける
誰か見ても高級感溢れる社長椅子みたいなのに深く腰を掛けて大きい窓越しに外を見ていた。
俺の父さん。
「失礼します、話って?」
俺はさっそく話題に入った。
父さんと二人っきりの時の空気が好きじゃないのと、これから話す話題が俺にとっては苦痛でしかなさそうだったから。
まぁ、あくまで勘だけど。
ギィっという音を鳴らしながら椅子を回転させて、テーブルに肘を付き手を組んだ。
そして父さんは口を開いた。
「水樹、お見合いの話だけど…」
チッ、勘あってたし…
なんで好きでもない奴と付きあわなくちゃいけないんだか
まぁ、さっきの“遊び”も高校を卒業するまでの許可が出てる代わりに勝手に高校卒業と共に、結婚させられそうな勢いでありつつあるけど。
「父さん、悪いけど断るよ」
父さんが薦めてくる所の令嬢は美人でも無ければ可愛くもない、いたって平凡な顔のぶりっ子だった。
さらに香水キツイ、性格キツイ。
最悪じゃん。