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詩集

第13章 混ざる、交わる、絡み合う

吐息が混ざる

汗が混ざる

男と女の体液が混ざる

口移しで唾液を混ぜる

唾液に感情を乗せて、2人でぴちゃぴちゃ混ぜあわせる

二人の意識が混ざり合う

この彼(ヒト)と

この彼女(ヒト)と

混ざり合いたい

どろどろに混ざり合ってしまいたい

肌が重なる

汗ですべる

それ以上は混ざりあえない

だって彼らはヒトとヒト

だから2人は永遠に

一つになれない、混ざれない

男の肌と女の肌

男の骨と女の骨

男の筋肉と女の筋肉

声質の違うふたつのそれは、何時までたってもひとつになれない

抱き合う、切ない、ひとつになれない

汗はひとつになれるのに

唾液はひとつになれるのに

涙はひとつになれるのに

二人の身体の分泌物は、混ざり合うことができるのに…

切ない思いはカタチを変えて、粘膜からにじみ出る

身体の奥からにじみ出て、染みになる

二人の影が一つに重なる

キスじゃない

ハグじゃない

交わる

彼女の体温

彼の存在

お互いの存在を確かめ合う

とろとろに二人の体液で溶けていく

存在が交わるその場所で

温かいぬくもりに溶かされていく

小さな雫が混ざり合う

とろとろとお互いを溶かし合う

一つになるために混ざり合う

彼女の中で命の鼓動を感じ取る

早鐘を打つ心臓の脈動

強い刺激に引きつる呼吸

一つの大きな生命の中で

新しく一つになるために

24本の孤独な螺旋と

24本の孤独な螺旋

新しく2つがひとつになるために

彼女の中でうごめく彼に

ふいと目線でちょうだいのおねだり

視線を絡めて、足を絡めて

無言のおねだり

彼と目線を交えて、絡めて

大きなひと混ざりを作り出す

快楽に溶けていく

彼の臭いにひくひくと

臓器が本能で絡まる準備

飛び出る、引っ掛ける

震える、飲み干す

お互いの遺伝子の絡めあい

生命の痙攣

混ざり、交わり、絡み合う

肉も、体液も、遺伝子も

ゆっくりとろとろ溶けていく

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