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詩集

第14章 アクアリウム

恋は盲目

だれもがみんな、そういうことを言いたがる

カタチがないから

恋をしたがる

カタチがないから

愛を欲しがる

恋は盲目

だれもが恋を手元に置けない

だからみんな恋をすると不安になる、ドキドキする

だからわたしは

即席の愛で、わたしをごまかす

目で恋が見れないなら

身体で愛を感じればいい

目で見ずに、身体で感じれればそれでいい

そんな単純な、即席の愛



壁に手をついて、膝まで下ろす

恋を愛に変える場所

後ろから愛が、カタチになって近づいてくる

コドモなわたしのオトナの水槽

わたしが恋した性感帯が、愛を身体に語りかける

愛を宿す神聖な儀式


ぬるり、と鈍い感触がして

お腹の底が拡がっていく

爪先をたてて、下半身が緊張する

血と肉が詰め込まれた水槽に、生命を灯すべく入ってくる

巻き付く、絞まる、痙攣する

重力に逆らって、カレの生命が登ってくる

重力に従って、わたしのアクアリウムが降りていく

肉が紡ぐヒトのアイ

鶏卵ほどの大きさの、小さな小さなわたしの水槽


わたしの愛を受け止めて、かれが耳元で苦しげに呻く

制服の裾から手が入って、わたしの色気を両手におさめる

ブラジャー越しに弄ばれる、卑猥な色気

柔らかい本体と硬くしこった先端

ぞくぞくと背中を這いずる愛を受けた

快楽の結晶

オスとメスの紡ぎだす電気信号が

わたしの神経を掻き乱す

わたしの愛が咥えたそれは

役割を果たすべく暴れまわる

美しい流線型の異物が入り

他のオスが与えた愛を、無残に掘り出す機能を持つ

その大きなひっかかりで、わたしはカレに愛を与える

ふたつのいのちの、快楽のコミュニケーション

愛を紡ぐ神聖な行為

ひどく卑猥な性の交渉



幾度と無く突かれ、擦られ

カレの中から愛が生まれる

ぷるぷると小刻みに痙攣しながら

カレの愛がわたしの中に注がれる

わたしの愛のイキドマリ

立ったまま

後ろから抱かれたまま

生命が器から溢れないように

生理用品で蓋をする

短い命のアクアリウム

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