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不器用なタッシュ

第9章 霹靂

食事が終わり、香織はご機嫌で帰るモードになってエレベーターを待っていた。


「香織…」


「ん~なに~?」


さっきまでの態度と…えらく違う…。


その笑顔を…誰に見せる気なんだろな…。


「まだ色々話したいんだけど、部屋で飲み直さない?」


部屋に誘うと案の定…


「あ…うん、また今度じゃダメかな…?今から一回、会社戻りたいし…。」


こんな時間に会社に、また戻るなんて可笑しいだろ…。


その為に…さっき井関さんに電話したし。


明らな…『嘘』


腹の底から、何とも重たいモノが渦巻き始める…。


「そっか…」


頭の中が、勝手に算段する。


到着したエレベーターに乗り込むと、ガラス張りでパノラマみたいに、ネオンで光る地上を見下ろす。


「凄い!綺麗だね~!」


手すりに掴まり、ガラスに映る香織の顔は…本当に感激していた。


あぁ…本当にな…

でも…君は…


「嘘だろ…」

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