テキストサイズ

不器用なタッシュ

第10章 鎖

「ふ~ん…ここか…ちょっと貸して」


「うん!」


香織の携帯を手に持って、ディスプレイに表示された住所をナビに入力する。


アウトレットか…
ぶっちゃけ初めて行くんだけど…。


どんな場所かそのまま携帯でスクロールしていくと、色んな店が入っているのは分かった。


女って…こう言うところ、好きだよな…。


携帯を香織に渡す時、何気に目に止まった店があった。


『ジュエリーショップ フェリーチェ』


イタリア語で…
『幸せな』か…。


「サンキュ…さて行くか…」


「はぁ~い!」


まぁ…香織もご機嫌そうだし…
旨そうなもんでも食いながら、イタリアの話でもするか。


音声ナビに従って、ニュービートルを走らせた。


運転しながらチラリと横目で香織を見と、口を結び真っ直ぐ正面を見据えている。


今日は淡いライトグリーンのワンピース。


相変わらずグリーン系が好きなんだな。


アクセルを踏み込んでいく足に力がこもる。


君の好きな色が変わってない様に…


心の片隅で…


君の気持ちがココに、留まってくれることを…


願ってやまなかったんだ…。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ