テキストサイズ

不器用なタッシュ

第10章 鎖

追い詰めると逆に逃げるだけかもな…


「ははっ!じゃあ、今度ゆっくり時間作ってよ。」


「…う、うん…今日は、いいかな」


「溜まってるけど、我慢するわ~!」


そう言うと香織は眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな表情になり


「じゃ…開けて…」


「キスしてよ」


「え…?」


香織の顔が強張る…
小田切の事を隠している以上、キスくらい断る理由はないだろう。


更に試すように…


「香織から…キスして」


香織は目を泳がし


「なっ!からかってるんでしょ~!」


「なんで…からかう必要あんの?」


何とか誤魔化そうとしたけど、引かないよ…。


俺は声のトーンを落として…


「ずっと我慢してたから、俺からすると、歯止め効かないよ…。」


「あ…そんなこと…。」


「じゃ、ここでヤってもいい?」


寧ろそれでも構わないけどな…
でも、香織は流石に諦めたらしく…


「わ…分かった…眼瞑って…」


「もちろん」


優越感が湧いて口端が上がる。


香織は俺の背中に腕を回し、唇をそっと重ねてきてけど、十秒程度のお子様みたなキスをして、唇を離して…


「も…いいかな…」


なんだよ…これ…?


プツン…


俺の中で何かが切れ掛かった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ