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不器用なタッシュ

第10章 鎖

翌日…

香織は待ち合わせ場所をアパート近くの公園にしてきた。


前回の事もあるからか、断固として車に乗りたくないようだ。


まぁ…どうとでもなるけどね…。


公園に着いたが駐車場は満車だった。


取り敢えず公園の付近で車を止められそうな所を探したが、駅もそこそこ近いせいか殆ど満車。


普段の俺なら絶対キレていたが…


「不幸中の幸い…」


口元に笑みを浮かばせて、香織に電話を掛ける。


コール音がしばらく響き…


ガチャ…


香織が出た瞬間


「駐車場ないんだけど!」


不機嫌気味な声で有無も言わさない様に言い放つ。


一瞬間が空いて香織は


『裏手の方に無かった?』


「満車!」


『どうする?』


ぷっ!香織早速ギブアップじゃん!


「俺んところで、良くない?」


『じゃあ…少し離れてるけど、コインパーキングがあるから…』


「面倒くせっ!とりあえず駐車場前に寄せてるから来てよ!」


そう言って、通話をブチ切りした。


きっと今頃香織は青ざめているだろう…。


「悪いけど…女運以外は結構ラッキーなんだよな…」


その女運の悪さが、これから発揮される事を…

この時の俺は想像もつかなかったんだ…。


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