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不器用なタッシュ

第11章 執念

怒りが顔に露わになるのが分かる。


ふっざけんな!


「アンタがなんて言おうが俺だって香織を離す気ないから!簡単に入れると思うなよ!」 


香織は俺んだって、ハッキリ言ってんのに


「じゃあ何で不安にばかりさせるんだ!もっと安心させてやれなかったのか!」


盗人が偉そうに説教を続けてくる。


「不安…」


ドック…ドック…


ドックン…


フラッシュバックが起きたみたいに、記憶が呼び起こされる。


付き合うまでは香織はいつも笑っていた…


でもいつしか、俺に会う度に不安そうな顔をするから…
俺は香織の愛情を何度も確認していた。


香織を見ると…
頬に涙が伝っていて…


華やかな香織の色が…
俺のドス黒さで掻き消されていく。


俺は唇を噛んだ。


痛てぇよ…。


「香織…こいつと付き合うの?だからイタリアも、行かねぇの…?」


痛いけど…
夢だろ…


これ?

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