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不器用なタッシュ

第11章 執念

この男が言い寄ってきたんだろ?
今だったら、笑って許してやるからさ…
寂しい時、魔が差すもんだしな…


胸の中のグチャグチャな感覚を抑え込む様に、頭の中は冷静さを装う。


俺の気持ち、誰よりも分かってくれていた香織だ…


今だって…
分かってくれてるんだろ?


香織は眉を顰め頭を振って、苦しそうな声で言った…


「違う…関係ない…」


嘘だ…
小田切の前だから、言えないだけだ。


「じゃあ、他に何の理由があんだよ…」


早くこいつから逃がさないと!


都合に良い俺が不敵に笑うその裏で…


『また…かよ…』


呪縛に縛られた本当の俺が、茫然と立ち尽くす。


もう…
この呪縛から…

解放してくれ…


そう呟いて見上げた空は…


混沌とした…


ダークグリーン。

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