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不器用なタッシュ

第11章 執念

「えっ?」


どういうつもりだ?


こいつ俺と香織を別れさせたいんんじゃないのか?


それとも香織の前でカッコつけてんのかよ?


いきなり現れて俺たちの6年間を奪おうとしている男だ…

綺麗事や正論言われても胡散臭い。


俺は思いっきり怪訝な顔で、小田切を睨んだ。


「大事なものは…無くしてから本当の痛みに気付くからね…いつまでも会えると思わない方がいいよ…」


小田切は俺を真っ直ぐ見て、まるで諭す様に静に語ってきやがったが…

どことなく…

遠くを見ている様で…


悲しそうに見えた…。


ギリリ…


何か古傷を抉られた様に…
胸が軋む…。


でも今の俺には、その瞳に湛えた憂いの意味なんて理解する余裕なんて微塵もなくて…


小田切に優越感を与えるのが、無性に腹立った。


「敵に塩を送る気…余裕だな…」


今日はこれ以上は粘っても、香織を連れて行くのは無理だろう。


捨て台詞の様に言い放ち、踵を返してニュービートルに戻る。


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