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不器用なタッシュ

第12章 時限爆弾設置

眉間に皺を寄せた香織は


「私、仕事あるから会社に戻る!一人で祝杯して!」


強気で言い放ち、ご満悦気味に踵を返して、ドアノブを掴む。


クッ…
計算通り…。


吹き出しそうな笑いを堪えて、シャンパンファイトの如く高らかにワインを持ち上げ…


ジョボジョボジョボッ!


香織の頭の天辺に掛けてやった。



ずぶ濡れになった香織の身体から、ワインとアルコールの香りが漂って部屋に広がると、恍惚感に似た甘い感覚が俺を酔わせる。


香織は固まって


「な…なにするのよ」 


呟く声を怒りで震わせいた。


「ははっ!これじゃあ、仕事出来ねぇな!」


ここまで来たら後は楽勝!
テンションが上がって、腹から笑いが出る。


「ちょっと、いい加減にしてよ!」


本気で怒っている香織は、滅多に見たことない。


「最後だと思って飲もうよ。ちゃんと話しも聞くしさ」


今度は穏やかな口調で、香織の望みを叶える様な言い方をしてみると


「分かった…」


案の定、香織は受け入れた。

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