
不器用なタッシュ
第13章 奪回
金曜日になった。
今、香織の会社のエントランスにいる。
会社の中で、カジュアルな格好をした俺は明らかに浮きまくっていて目立つ。
香織の姿を見つけると、態とらしく大きな声で呼びつけた。
「香織~!一緒に帰ろ~!」
指先でクルクルと車の鍵を回しながらほくそ笑む。
香織は露骨に驚愕と不満そうな表情を浮かべて
「ちょっと…!」
怒った声で俺の腕を引っ張り、エレベーターに乗り込んで地下駐車場に降りていく。
地下に到着した途端、香織は堰を切ったように怒り出した。
「ちょっと!ここ会社だよ!どういうつもりよ!」
「え~?こうでもしないと香織、会えないじゃん」
「常識ってもんが、あるじゃん!」
香織のその言葉に、怒りが一瞬込み上がる。
「はっ!常識保ったって欲しいもん手に入んなかったら意味ねぇよ!」
「なっ!」
顔を歪ませる香織に前の俺ならこのまま押し倒していただろうけど、もうそんなに浅はかなつもりはない。
「家まで送るから乗れよ」
「いい…用事あるし…」
香織は気不味そうに、視線を泳がす。
あぁ…そうだよな。
だって今日は金曜日だから――――
今、香織の会社のエントランスにいる。
会社の中で、カジュアルな格好をした俺は明らかに浮きまくっていて目立つ。
香織の姿を見つけると、態とらしく大きな声で呼びつけた。
「香織~!一緒に帰ろ~!」
指先でクルクルと車の鍵を回しながらほくそ笑む。
香織は露骨に驚愕と不満そうな表情を浮かべて
「ちょっと…!」
怒った声で俺の腕を引っ張り、エレベーターに乗り込んで地下駐車場に降りていく。
地下に到着した途端、香織は堰を切ったように怒り出した。
「ちょっと!ここ会社だよ!どういうつもりよ!」
「え~?こうでもしないと香織、会えないじゃん」
「常識ってもんが、あるじゃん!」
香織のその言葉に、怒りが一瞬込み上がる。
「はっ!常識保ったって欲しいもん手に入んなかったら意味ねぇよ!」
「なっ!」
顔を歪ませる香織に前の俺ならこのまま押し倒していただろうけど、もうそんなに浅はかなつもりはない。
「家まで送るから乗れよ」
「いい…用事あるし…」
香織は気不味そうに、視線を泳がす。
あぁ…そうだよな。
だって今日は金曜日だから――――
