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不器用なタッシュ

第13章 奪回

戸惑う香織に追い打ちを掛ける。


「じゃあ、もう小田切に相談するのも、会う必要もなくなるよな?」


「…えぇっ!あのさ…確かに今日は小田切さんと約束してる…。けど話ならこないだ、すれば良かったんじゃない?」


香織は俺に真っ当なことを投げかけてきた。


まぁ、こういう所が香織らしいけど…
ホテルでの目的はそこじゃないし。


「あ~…そしたら、やる時間減ってたじゃん」


「…はい?」


「この前はやりたかっただけだから、だから今日話してるんだよ」


毎週金曜日が特別なのは、分かってんだよ。


「な…なんで…嘉之おかしいよ…。前はこんなんじゃなかったじゃん…」


香織は顔を歪めて泣きそうに、声を震わせる。


どうやら俺の言っていることを理解したくないみたいだ。


『こんなんじゃなかった』――――

か…。


腹の底から笑いが込み上がってきた。


俺は口元に、皮肉気な笑みを浮かべて


「そう?これも俺だよ…。香織は最初から解ってたハズだぜ…」


「え…最初…?」


香織に掛かった俺へのフィルターを引き裂いていく。


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