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不器用なタッシュ

第13章 奪回

『香織んっ!どうしたの?』


香織の悲鳴に、さっきまで澄ましていた小田切の焦った声がスピーカーから響いて愉快だ。


あぁそうだ…
香織が俺のだってちゃんと思い知らせなきゃ。


唇を割るように押し込んで、舌を入れて激しく掻き回して唾液の音を態と立てる。


クチュ…クチュ…


「あっ…はふ…止めて…」


息苦しさから香織の漏らす声が色っぽくなって、音響効果は抜群だ。


「香織…」


ピチャッ…クチュ…


甘く名前を囁く。


香織…香織――――。


お前は俺のだ!!


今の心の叫びみたいに、水音が大きく響かせる。


シートと俺に思いっきり挟まった香織は、キツイ体勢なのに必死で携帯を取り返そうと手を動かす。


香織が何かしようとする度に、俺の中の淀みを激しくさせた。


握っている携帯を口元に近付ける――――。


どこを攻めたら香織が喘ぐかなんて熟知している。


俺たちの混ざり合う音、香織が快感に震える声を小田切にプレゼントしてやろう。


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