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不器用なタッシュ

第13章 奪回

「いやぁ…!んんっ!」


香織から発せられる拒絶を掻き消すように、舌を激しく絡ませて封じていく。


この香織の味も感触も、俺だけのものだ!


ずっとこのまま縛り付けて、連れ去ってしまいたい――――。


でもそれじゃぁ駄目だ。


今の香織から小田切を完全に切り離さなければならない……


それも香織の『意思』でだ。


香織を取り戻すためなら、何だってしてやる――――!!


ピチャッ……


名残惜しい気持ちで下唇を引っ張りながら、俺は香織から離れた。


「ふっ…ふっく…」


俺とのキスに少しも酔いしれることなく、香織は瞳から涙を大量に溢れさせている。


ピッチャン……


鼓膜の奥で水音が響く。


俺に出来た隙間から流れ落ちるのは――――


香織の涙なのかな?


傷口に塩でも擦り付けられたみたいに、絶叫した衝動が湧き上がってくる。


唇の裏を噛んで怒りを抑えながら、俺は次の行動に移った。


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