
不器用なタッシュ
第13章 奪回
「小田切さん聴こえた?香織の声、可愛いかっただろ?」
『…………』
携帯の向こう側にいる小田切に嫌味ったらしく言ってやる。
「あんたじゃ一生聴けなかっただろうからさ…せめてもの餞別だよ!じゃぁね~!」
ガチャ!ツーツー……
優越感に浸っているかのように、口元には笑みを浮かべているのに……
胸の中のザワつきは、どんどん激しくなっていく。
そんな俺の気持ちも知らない香織は、恨みがましい目付きで睨んできた。
「なんで…なんでこんな酷いこと出来るの!小田切さん関係ないんだよ!」
何で?
俺から香織を奪っていこうとしてるからだろ?
何で?
そんなこと言うんだよ……。
身体中に渦巻く不安に反して、俺は薄く笑みを浮かべ続ける。
「あぁ…でも香織には関係なくはないだろ? 小田切がなんとも思ってなくても香織はあいつのこと気になってんじゃねぇの?」
「な…なんで…そんな根拠…」
「ないの? 言い切れる香織?」
本当はこんなこと言いたいんじゃない!
本当は『違う』って言い切ってくれ!
だけど香織は目を見開いて、口を噤む――――。
『…………』
携帯の向こう側にいる小田切に嫌味ったらしく言ってやる。
「あんたじゃ一生聴けなかっただろうからさ…せめてもの餞別だよ!じゃぁね~!」
ガチャ!ツーツー……
優越感に浸っているかのように、口元には笑みを浮かべているのに……
胸の中のザワつきは、どんどん激しくなっていく。
そんな俺の気持ちも知らない香織は、恨みがましい目付きで睨んできた。
「なんで…なんでこんな酷いこと出来るの!小田切さん関係ないんだよ!」
何で?
俺から香織を奪っていこうとしてるからだろ?
何で?
そんなこと言うんだよ……。
身体中に渦巻く不安に反して、俺は薄く笑みを浮かべ続ける。
「あぁ…でも香織には関係なくはないだろ? 小田切がなんとも思ってなくても香織はあいつのこと気になってんじゃねぇの?」
「な…なんで…そんな根拠…」
「ないの? 言い切れる香織?」
本当はこんなこと言いたいんじゃない!
本当は『違う』って言い切ってくれ!
だけど香織は目を見開いて、口を噤む――――。
